2019年10月31日。
夢にも思っていなかった虎の門病院最終日。
ついにこの日を迎えました。
午前中は歌舞伎町の内視鏡クリニックでスポット勤務。
内視鏡クリニック勤務の長い旅路の最終外勤は新宿歌舞伎町。
聞こえがカッコいいので、あえて最後に選択しました。内視鏡スポット勤務をこの数か月で職場の理解もあり、多くの施設でさせていただきました。
そしてあふれてくる想いを胸に午後からホームの虎の門へ。
病棟や外来、手術室ではいつものように平然と時が流れていました。その横で僕は保険証を返却し、ロッカーのカギや机を整理し、段ボールに荷物を詰めて、ふと出てきた昔の写真や昔の色紙を眺めながら、淡々と退職手続きをこなしました。
辞めていく人たちはみな、この作業を経験するんだな、としみじみ思いながら。
少しだけ、涙。
涙が出てくる感情を噛み締め、胸に刻み込みました。
手術室では、ナースステーションで挨拶の場をいただき感謝。
尊敬する上司たちにも近況報告できました。
大学時代に、絶対に虎の門に行きたい!ここで虎の門病院で外科医になりたい!
夢が叶い15年勤務。
田舎から『虎穴に入らずんば、虎児を得ず』の気概で単身上京。
大学の卒業アルバムに、医師になってからの目標として、書いた言葉。
この15年間、素晴らしい上司に恵まれ、熱い同期と優秀な後輩たちに囲まれて、かけがえのない時を過ごすことができました。
そして、数多くの大腸癌、憩室炎の手術を経験し、病を治し、命を救って、大腸外科の深奥を追究することができたと思います。
虎の門病院での外科医人生に悔いなし。
虎の門病院と下部消化器外科チームへの愛着はとてつもなく強いです。
もしも万が一、開業という選択肢の他に、他の病院で外科をやるか?と誘われてもきっと答えは『No』です。
ここで、はじめて、ここで終わりたい。
その夢は実現しました。
外科医として気力、体力の絶頂期に辞めます。強い決意で決めたことです。
だからこそ、後悔はありません。
花は、一番奇麗なときに、散るのが美しい。
僕の理想の美学。
今、辞めることを皆に惜しまれますが、僕の真意をどうぞご理解ください。
僕は枯れたくはないのです。ほんの少しでも枯れたくない。
一番美しい時に、散ってしまって、新しい新芽から花を咲かせたい。
次の目的地で満開の桜を咲かすべく。
書きたい言葉がどんどん出てきますが、書けばきりがないのでこれにて校了。
虎の門で働くことができて、幸せでした。
38年間幸せな人生を送ることができました。
大好きな虎の門病院を辞める代償は計り知れません。
その想いの、全精力、全て、をこれからの創業ミッションに熱く注力します!
※『せたがや内科・消化器クリニック』院長の富沢は、11月から虎の門病院非常勤となり、虎の門病院勤務は水曜日のみとなります。