消化器外科

消化器外科の診療について

当院の消化器外科診療は、主に消化器がんの診療を行っています。
とくに大腸がんの診断から治療、アフターフォローまで、虎の門病院下部消化器外科チームと連携し迅速かつ継続的に行います。
また、当院院長の富沢は虎の門病院がん総合診療部のメンバーです。
写真2列目、右から三番目が富沢です。

良性疾患である大腸憩室症虫垂炎腸閉塞急性腹症鼠経ヘルニア痔核などの診療や粉瘤火傷、切り傷、すり傷にも、幅広く対応しています。

大腸がん

大腸がんとは

大腸がんとは大腸にできる悪性腫瘍のことを指します。大腸とは結腸(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)と直腸から構成されています。 大腸がんの日本人の好発部位はS状結腸と直腸で、ライフスタイルの欧米化などから近年増加傾向にあり、今後も長期的にこの傾向は継続することが予想されています。 罹患率(大腸がんになる率)は、40歳代から増加し、高齢になればなるほど上昇します。(ですので世田谷区をはじめ、各自治体で40歳以上で大腸がん検診が推奨され、公費負担となっています)

症状

血便、便秘、下痢や悪心、嘔吐などの腸閉塞症状、腹痛等、多彩な腹部の症状を呈しますが、血便や検診の便潜血陽性で発見される機会が圧倒的に多いです。しかしながら、早期の場合では症状がほとんどないので便潜血が陰性でも40歳以上であれば大腸カメラ(大腸内視鏡)を推奨します。

原因

大腸がんの成因としては、腸管の正常粘膜から発生するものと、良性ポリープである腺腫から多段階的に発がんするものが考えられています。クローン病や潰瘍性大腸炎が大腸がんのハイリスクであることは周知されていましたが、近年さらに家族性大腸腺腫症、リンチ症候群が大腸がんの発生因子として遺伝子レベルで注目されてきています。
大腸がんの予防として、ポリープ(ここでは腺腫とします)の早期発見、早期切除が非常に重要となってきます。アメリカでは近年、進行大腸がんが減少傾向にある、という報告があります。これは大腸カメラ(大腸内視鏡)が広く普及してきていることのみならず、内視鏡スコープのハイビジョン化やポリープ切除の技術の向上などからポリープの発見率、切除率が大幅に改善したことが寄与していると考えられています。

治療法

大腸がんの治療には病変の進行度に応じて、エビデンスのあるもの(統計学的に治療実績があるとされている治療法)として内視鏡治療、外科手術、化学療法、または放射線化学療法があります。
たとえ、がんが発見されたとしても、比較的早期の段階であればEMR(Endoscopic mucosal resection:内視鏡的粘膜切除術)、ESD(Endoscopic submucosal dissection:内視鏡的粘膜下層剥離術)といった内視鏡的な切除で病変の完治を目指すことが可能です。
しかしながら、進行大腸がんで発見されることも多々あるのが現実です。
そのような場合は外科手術となりますが、手術の方法としては開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット手術があります。

大腸がんの専門治療施設である虎の門病院出身の院長が、患者さんそれぞれに対し最適な治療法(テーラーメイド治療)を検討し、虎の門病院下部消化器外科臨床腫瘍科放射線治療科と連携を取ります。

参考文献:消化器疾患最新の治療2019-2020(大腸癌-進行直腸癌) 南江堂 富沢賢治

胃がん

日本では、ピロリ菌除菌の啓蒙などから近年減少傾向にある胃がんですが、欧米諸国に比べ発生頻度が依然高く、注目し続けなければならない疾患です。
みぞおちが痛い、おなかが痛い、飲み込みにくい、悪心(気持ち悪い)、嘔吐、胸やけがする、食欲がない、体重減少がある、貧血等の症状がある場合は早めの胃カメラ(胃内視鏡)をおすすめします。
早期発見であれば内視鏡治療(EMR、ESD)で完治することが可能ですし、進行病変であれば迅速に虎の門病院消化器内科チーム上部消化器外科と連携して治療します。

食道がん

食道にできる悪性腫瘍です。
主に胸部中部食道が好発部位となります。近年欧米人に多いバレット腺がんが日本でも増加傾向にあります。
治療は早期であれば内視鏡切除で完治することもありますが、進行病変ですと、化学療法、放射線療法、手術が選択肢となります。
術式としては従来の開胸・開腹手術や胸腔鏡・腹腔鏡手術が選択肢となります。近年ロボット手術の報告も増えてきています。

大腸憩室症

大腸憩室症とは、食生活などライフスタイルの欧米化などから、繰り返す便秘などによって大腸の壁に圧力がかかり、袋(へこみ)ができる病態です。 これ自体は良性の疾患であり、治療はとくに必要ありません。しかしながら、大腸憩室が憩室炎や憩室出血を引き起こすと、治療が必要になります。
急速に日本でも増加する大腸憩室症に対して、2017年に日本で初めて大腸憩室(憩室出血・憩室炎)ガイドライン(日本消化管学会編)が策定されました。
当院院長の当院院長の富沢はこのガイドライン委員会の作成メンバーであり、日本の外科医の中で一番の大腸憩室マニアと自負しています。
とくに憩室炎によるS状結腸膀胱瘻に対する腹腔鏡手術は世界最多の手術症例がございますので、お気軽にご相談ください。大腸がんのみならず、大腸憩室症もお気軽にご相談ください。

※『Laparoscopic surgery for colovesical fistula associated with sigmoid colon diverticulitis』J Anus Rectum Colon2019

虫垂炎

虫垂炎とは、異物や糞石などが原因で、虫垂内の閉塞が起こり、二次的に細菌感染を起こすことで右の下腹部が激しく痛む疾患です。
昔から俗に『盲腸』と呼ばれています。
虫垂に穴があいた場合は、穿孔性虫垂炎といいます。
手術する時期を逃すと、腹膜炎などの重い合併症を起こす可能性があり、適切な診断と手術の判断が重要です。
手術は従来の開腹手術ではなく、傷が小さく回復の早い腹腔鏡手術が主流です。

腸閉塞

腸閉塞とは、さまざまな原因で腸管内容物がつまり、排ガス、排便が停止し、おなかの痛みや吐き気などの症状がでてくる病態です。
腸閉塞の原因としては腹部手術歴(癒着性)がある、腸重積、腫瘍などがあげられます。

急性腹症

突然発症した腹痛と定義され、緊急手術など、迅速な対応が必要となります。
原因としては胃・十二指腸潰瘍(穿孔)、腸重積、胃がん・大腸がん穿孔、ヘルニア嵌頓、急性虫垂炎、憩室穿孔、S状結腸軸捻転などがあります。
いずれにせよこれらを適切に鑑別し確定診断につなげ、早期に治療することが重要です。

鼠径ヘルニア

大腿部の付け根の鼠径部から腸管などが飛び出し、体表面から膨らみとして蝕知する疾患で、俗にいう『脱腸』です。
時に還納(もとにもどる)不可能となり、嵌頓(とびだしたまま)状態が続き、絞扼(腸がしめつけられる)してしまうと緊急手術が必要となります。
若い方はもちろん、ご高齢でも元気な方は、このようなリスクを回避するために基本的に手術をおすすめしています。

痔核

肛門と直腸の静脈に血がたまり、膨らんで痛みや出血を伴う疾患です。
多くは保存的治療が可能ですが、手術が必要な方も多く存在します。

粉瘤

アテロームとも呼ばれます。皮膚の下に袋ができ、本来皮膚から剥げ落ちるはずの皮膚の角質と皮膚の脂(皮脂)が、たまってしまってできた腫瘍の総称です。
感染を繰り返す場合があるので切除が必要です。

火傷、切り傷、すり傷

当院では上記にも対応しています。

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