最近、当クリニックでは胃のアニサキス摘出の症例が増えてきています。
当院では腹痛患者さんや、何らかの症状を有する患者さんに対する胃カメラ(胃内視鏡)が増えているからかもしれません。
食道がんや胃がん、胃潰瘍、逆流性食道炎、ピロリ菌感染などの症状を有する疾患のほかにも、アニサキスも鑑別として挙るほど遭遇頻度が増えてきています。
アニサキスは寄生虫(線虫)の一種で、長さ約3cmくらいで、白色の少し太い糸のように見えます。
そしてサバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類に寄生しています。
寄生している魚介類が死亡し、時間が経過すると内臓から筋肉に移動することが知られています。
◆ 急性胃アニサキス症
食後数時間後から十数時間後に、みぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐を生じます。
◆ 急性腸アニサキス症
食後十数時間後から数日後に、激しい下腹部痛、腹膜炎症状を生じます。
(厚生労働省の『アニサキスによる食中毒を予防しましょう』のページから一部改変して引用しています)
多くは急性胃アニサキス症で、
クリニックに受診される桜新町、用賀での典型例はサバを食べた後、6時間以降に起こる、下痢のない腹痛、吐き気。腹膜刺激症状はなく、持続痛というよりも周期的なみぞおち付近の痛みで歩行可能である、という点も特徴的だと思います。
また、自験例ではスーパーなどで購入してご自宅で調理するケースよりも、料亭や居酒屋のサバが原因の方が多いです。(自宅だと調理に気を遣うから??なぜでしょうか、原因は定かではありません)
当院での症例を提示します。
いずれも当日緊急内視鏡を施行し鉗子にて摘出し、治療しました。
摘出後、症状は比較的速やかに改善されます。
症状や、炎症の程度により摘出後、胃薬などを内服していただいております。
アニサキス予防としては、
◆ 新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除く
◆ 魚の内臓を生でたべないこと
◆ 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去すること
◆ -20℃で24時間以上冷凍
◆ 加熱(70℃以上、または60℃なら1分)
また、酢での処理、塩漬け、醤油やわさびでは、アニサキスは死滅しません!
特にサバの生食には気をつけてください!