当院ではオンライン診療を施行しています。
4月7日に初診からオンライン診療可能の通達が異例のスピードで決定されましたが、その動向を十分に注視する必要があると思います。
まずは、以下わかりやすく解説します。
『オンライン診療とは、お手持ちのスマホなどのアプリを利用して、病院(クリニック)の予約・問診・診察・処方・決済までをネット上で行う診察・治療方法です。ネットに接続できる条件であれば比較的自由な時間や場所で診察を受けられるため、外出が困難なご高齢の方や忙しいビジネスマンの方、小さいお子様から目を離せないお母様方など、幅広くご利用いただくことができます。
クリニックに来院し、診察する方法を「対面診療」と呼び、ビデオ通話のようにして診察する方法を「オンライン診療」と呼びます。
※初回の診察は対面での診療を行う必要があり、数か月ののちに、オンライン診療が受けられるようになります』
4月7日以前は上記のように紹介・説明しており、内視鏡の結果説明や、慢性疾患の定期処方などに利用することを想定していました。
しかしながら、緊急事態宣言で初診からのオンライン診療が可能となる旨が安部総理大臣から発表されました。
今後、状況は大きく変わります。
過去には以下のような理由で初診は積極的にすすめられておりませんでした。
特に医師会から反対意見が強く、その意図も十分に納得できます。
・ネット環境やデバイスが必要であり、インフラの整備が必要なこと
・触診や聴診や採血などの検査が省略されるため誤診の可能性
・ネット上でのセキュリティ対策
・診療報酬上の問題
・決済方法や処方箋受け取りの工夫
・偽造医師(なりすまし医師)の出現
などなど、デメリットに関して挙げればきりがないです。
今回コロナウイルス感染症の拡大感染防止における対策として打ち出されたオンライン診療。
しかしながら、医療崩壊のはじまっている現場では、適切に使用すれば有効なツールとなるでしょう。
①コロナウイルス疑い症例の受診の選別、選定ツール
②コロナウイルス感染者との接触回避
上記によって、医療従事者の安全も確保され、慢性疾患やがんの治療などでどうしても通院が必要な症例の
院内感染を予防することができると考えます。
現状では、大腸がんで抗がん剤投与中の闘病中の方が安心して受診できる環境ではありません。
この先、戦いが長期化すれば、医療機関のマスクや消毒、ガウン、防護服などの医療資源は底をつきます。
(どうして医療現場に物資が届かない!?)
オンライン診療によるコロナウイルスの選別は『見えないマスク』や『見えない感染予防ツール』となると予想します。
また、オンラインを使用することによって、病院に来る前にトリアージが可能となります。
つまり、院内トリアージではなく『IT(オンライン)トリアージ』が可能となるわけです。
現在、感染者の若者は症状が軽く、自覚していないうちに感染拡大の原因となっていることも指摘されています。
爆発的な感染を防ぐ前に、自覚症状がなくてもコロナウイルスの症状、例えば『熱』『咳』『だるさ』
『渡航歴』『接触歴』『基礎疾患』『ストレス』などの問診項目から点数でスコアリングして、高ければオンラインで積極的に相談してもらう、
という枠組みも可能かと思います。
若者は高齢者に比べてもともとスマホネイティブ世代なので、抵抗なく導入できるのではないかと思います。
さらにコロナウイルスの特性が明かになってくれば、アプリによる自己診断ツールを開発し、これがオンライン診療と紐付けることができると考えています。
また、今後の展望としては治療薬が開発された場合(どれくらい先かわかりませんが)、オンライン診療での処方も可能になると思います。
感染者と接触せずに迅速に治療薬を処方することができれば大きな進歩です。
ほかにも色々な可能性を想定しながらこのブログを書いています。賛否両論ありますので、本日はここまで。
現時点でまだまだ、不確定要素の多いオンライン診療ですが、これが現段階で特効薬がない感染症への有効な
『見えないマスク』『IT(オンライン)トリアージ』となること。
適切に使用し、『諸刃の剣』とならないことを願ってやみません。
感染爆発に備えて日々、準備をしています。
ご意見のある方は直接ご連絡ください。
せたがや内科・消化器クリニック 富沢賢治